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AudioとFishingと旅,つれづれ
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 学生3人を連れてアメリカの学会に行ったときのこと,帰国前にNYに2泊した.学生たちと一緒に5番街をぶらぶら歩きながら,NYの様子を描いたエッチングでもないか,ついでに,家内から,お世話になった絵画好きの叔父へのお土産も頼まれていたので,2つ3つギャラリーをひやかしたうちの最後だった.
そのギャラリーのスタッフ,やけに愛想がいい.あれやこれや話していると,自分の欲しいものはなさそうだが,Rizziの小品がお土産に丁度よさそうと思い,ついでだから自分用にもひとつ買うことに.そこまでは普通だったのだが,パッキングできるまで,奥でもう少し見ていけという.奥の方に入り込むとゆったりソファを勧められ,ウイスキーかブランデーを振舞われ,今度はRizzinの大物が出てきた.
“どうだ,いいだろう,これは好きだろう”,と畳み掛ける.
“うちは日本には三越だけに卸している.近いうちに大きな個展を日本でやる.これはそのときの目玉のひとつだが,今ならおまえに提供できる.”ときた.
学生たちは段々表情が固くなってくる.値段を聞くと,“これは$15,000だが,いまなら10,000でいい”などと来た.ああだこうだとやり合っていると,

“おお,社長が来た.”
社長:(演技たっぷりに愛想をふりまき)“それで商談はどうだ?”
Staff:“今10,000で・・・”
社長:“クレージーな値段だ.おまえ,なんてこと言ってるんだ!”
Staff:“でも社長,これが売れれば...”
社長:“わかった,あとはオレが話す.ミスター,わが社はとてもがんばって商売をしている.しかしどうしても今月あと$10,000が必要なんです.そうしないと,この場所の家賃が払えなくなる.この作品はここでは$15,000で売っているが,日本では$20,000くらいの値をつけている.ミスターはこれを持ち帰って,もし不要なら15,000でも簡単に売ることができるんです.どうです,いい買い物ですよ.決算さえなければこんなクレージーな値段で売ることはないんです!!!”

ときた.社長登場のタイミング,演技,バッチリである.学生達の方は,会話のはしばしは分かっているようで,かなり不安な様子になってきた.

が,程なくパッキングが終わり,社長,がんばってね~,と店を後にした.お土産用にはBoy and Girl だったかな,自分用にはBig Dog Big Cat.

Rizzi.jpg

 お土産を叔父に差し上げてからしばらくして,本当に日本で個展が開かれ,それが叔父のいる函館にもやってきた.で,デパートでそれを見た叔父がびっくり,“いやいや随分高価なものをいただいて”,と再三お礼の言葉をいただいた.本当にいい買い物だったみたい.

     (なお,私は大学教員ではない。)

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