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変わった国の訪問記も.
石狩漁協の朝市に行くと,カワガニを買うことができる.モクズガニである.英語名を“Japanese mitten crab“と言うそうな.なるほど,ミトンの手袋を”はいて“るってことか.
サハリンから日本海沿岸の日本側・大陸側,琉球列島,小笠原列島など,日本の界隈に広く分布するらしい.河口域で生まれ,変態してカニらしくなると川を遡上し,3年くらいは淡水で成長し,その後川を下って河口域で産卵する.北海道じゃ旭川でも確認されたことがあるそうで,かなり長い旅をする固体もいるとのこと.千葉市で道路工事の仕事をしていたとき,田んぼの脇の幅40cmくらいの水路を掘っていて,見事な大物に遭遇してびっくりしたことがある.浜野インターの近く,海まではずいぶん遠いし,川など無くて,こいつは雨水排水などの網の目の排水路を遡上してきたってことである.気の遠くなるような旅をしてそこまでたどり着き,いつかまた水の流れを下って海に出て行くのだろう.驚異だ!!もう少し詳しい生態などは,漁業生物図鑑“新北のさかなたち”を参照されたし.
しかし,私はその貴重なカニさんがなんとも美味であることを知っている.石狩のカワガニ,もとい,モクズガニ君しめて1kgは,先週土曜日にわが食卓に上ってしまったのであった.合掌.
あの上海ガニもこいつの仲間だったと思う.塩茹された姿は,お世辞にもきれいとは言えない.しかし甲羅をはがすと,たっぷりの黄色に近いオレンジのミソが姿を現す.クリーミー,ミルキーで滋味深い味わいはたまらない.河口の泥の中にいるカニは,洋の東西南北を問わず,“うまい“とMr.Ken Kaikoはおっしゃっている.小型のカニなので身は少ないのだが,本体だけでなく,足は出刃の背でたたいて殻を砕き,チマチマと身をはずす.この身がまたうまい.生のまますり潰して味噌汁にするのが本州の定番と聞くが,おいらは茹でたカニと格闘するのが好きだ.で,こんな美味いカニさんは原則菜食だそうである.
いつまでも食卓にあがっていてほしいと思うのだが,石狩川の環境は大丈夫であろうか.護岸工事やショートカット,取水堰,ダムなど,サケ・マス・ヤツメそしてモクズくんなど,海と川を行き来している連中にとっては,なかなか暮らしづらい世の中になっているのかもしれない.洪水は少なくなって,人間には住みやすくなったのだが,はて?.街には下水が整備されたけど,水質はどうだろうか.除雪された雪は結構汚くて,これが雪解け水となって川を下るので,川の底や河口には,結構汚染物質が溜まっていそうである.
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