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変わった国の訪問記も.
高品質の食材を高い技術と感性で調理して,おぉ!と感嘆しながら至福の経験を高いお金を使って過ごすのも食道楽の楽しみである.しかし,そこまでの食材でなくても気をつけて選んだものを,気持ちをこめて調理した品で,ホッと体の中から楽しめることだってある.幹線道路から外れて,地下鉄駅からも離れて,しかも札幌市内なのだが玉葱畑が広がり,刑務所がある界隈に,ポツンと,“和食ロック”の看板が出ている.どっちも大好きだが,この二つが一緒になるとは何者か?,自転車で走り回っているときに見つけた.
いかなるキワモノ?,と,ついに暖簾を(...暖簾なかったはずだけど)くぐってみたのが去年の夏.カウンターだけの小さな店内,黒いレザーのベレーをかぶった店主が一人,見かけはロックである.ロックは,小さなラジカセから流れる.メニューは,原則その日の仕入れで決まるようである.前もって予約すれば,いろいろできるようだ.入った時間が早かったので,仕込みと並行での仕事になったが,はじめはピリ辛の手羽先の煮込み料理.純正の和ではないが,結構美味いぞ.素材は普通のものだけど,一生懸命作ってある感,なにか和む小皿だ.
聞けば店主はBostonのバークレー音楽院で勉強し,Bostonで活動していたが,色々あって帰国,札幌に戻ってきたのだそうだ.Boston時代に和食店でバイトしながら料理の技術も身につけたとのこと.いくつかつまみながら,そんな経歴が料理にもにじみでているなと感じた.正規,正統の和食修行ではないが,当人の人となりがしっかり料理に出ているのに感心した.こんな料理は,気持ちが緩んでほっとするのだ.しかし,まだ開業間もないこともあり,昼間は警備員のバイトだそうだ.体を壊さないで,店の方をもっとじっくりやれるようになって欲しいものだ.
うちの近所にあれば,常連になってしまいそうだが,いかんせん場所が悪いよ.こっちに店移したらどうだい?,学生も一杯いるからきっと繁盛するよ.
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