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AudioとFishingと旅,つれづれ
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って言ってもたいていの人は???,反応するのはシベリア鉄道ファン,シベリアの石油開発関係者,商社のシベリア担当の人,シベリア冒険ライダー,とまあこんなところだろう.その,たいていの人には???なウスチ・クトに行ってきた.何しにってのは仕事なのでここでは省略.

 ここはシベリア鉄道とBAM鉄道がつながるところ,さらには鉄道で運んできた貨物を船に積み替え,レナ川を使ってサハ共和国やその北極海沿岸まで輸送する出発点.東シベリアの油田開発のこれまた出発点,なんでも出発点なところである.Ustってのは河口のことで,Kut川の河口っていう意味なんだそうだ.近くで有名なところというと,バイカル湖とイルクーツク.だけど,イルクーツクまで車で行くと1,000km走ることになる(楽ではなかった).

 2007年にはじめてウスチ・クトに行くことになったのだが,なかなか情報が手に入らない.まずはホテルがあるかどうか?ずいぶん前に鉄道旅行した人が書いているwebサイトでは,ホテルがなくてどっかの保養所みたいなところになんとか泊めてもらったとか.だが現地から紹介されたのと,ヤンデックスで検索した情報で,LENA Hotelが営業しているらしいことがわかった.仲良しの旅行代理店Fさんに頼むと,なんと予約ができた.ま,Trip Advisorなんかでもreviewが出ているようだし大丈夫!とふんでの出発だった.

どうやって行くか?,こいつも難題だが,ここはひとつ州都イルクーツクから飛行機で.だって現地からの話でちゃんと飛んでいるって聞いたので.ところが,エアライン名はわからないわ,空港コードがIATAでは見つからない(空港はGoogle Earthで見つかる)わ,飛んでるかどうかもなかなか判明しない.でもどうにか予約ができた,ただし発券は現地である.


Irkutsk_aiport2.JPGLena_station.JPGLENA_hotel.JPG
イルクーツク空港            鉄道駅            ホテルあった!

ついでに書いとくけど,ロシアでこういうところに行くときは気をつけなくてはならない.ビザ申請書には訪問地を全部書くわけだが,訪問目的やだれに身元保証をうけるかなどなど,注意と準備,根回しが必要なのである.でないと,ビザが出なかったり,現地で警察に干渉されたり,出国時に捕まったり,いろいろ問題がおきるのだ.実際,われらの前年にウスチ・クトに行った某グループ(日本人)は出国時に,訪問目的外の行動をとったとかで,タイホ,カメラ等没収と相成ったそうである.観光ビザで行ったらしい.で,この手のところってのは,駅・港・空港そのもの,それに軍事基地があったり,入域許可が必要だったり,油田だのなんだのがあったりするところである.
P1251305.JPG     P1251303.JPG
ベッドもTVもあるけどそれだけでもある     トイレとシャワー

そんなこんなではあったが10月初旬の朝,われらが飛行機アントノフ君は,とうとう秋のイルクーツク空港を離陸した.眼下は,紅葉のはじまったタイガの原生林がどこまでも.1時間20分のフライトで機はウスチ・クトに無事到着したのであった.頼んでおいた車もちゃんと空港に迎えに来ており,ここまではとんとん拍子で旅が進んだ(ここまでは).ちなみに車は路線バスをそのままチャーターした格好.ドライバーのジイチャンがいい味で,人好きのする典型的なロシアの田舎の人(んでこのジイチャンも最後の顛末にからむのである).お,それとホテルも鉄道駅のすぐ向かいにちゃんとあって, 部屋もひとつ足りないけど(笑)確保されていた.


 ウスチ・クトの街の様子は,極東ロシアのどこにでもある例のヤツ,代わり映えしない.住宅の多くは5階建てくらいのアパートで,集中暖房と給湯の配管が道路を横切ったりするいつもの街並み.市街をはずれると,アパートではなくて木造などの素朴な住宅があつまった集落もある.人口はせいぜい2~3千だろうとたかをくくっていたら,市長さん(表敬したのだ.ロシアじゃこれが大事.)によると5万人?とな.お見それしました.ここでもたくさんの日本車が走っている.冬は-60度に達する極寒地なので,冬場に遠乗りしたり,石油開発で原野に入るときはランクルやパジェロなどがやっぱりmustだと.ただし,快適さではかなわないけど,サハ共和国などのように補修部品が簡単に手に入らないようなremoteなところでは,シンプル一途のロシア製ジープ様の車がbestとも.(要は,故障するが,機械が単純だから直すのも容易なのである.

Bus.JPGHouse_kut.JPGUstKut_City_I.JPG

   ジイチャンのバス     Kut川ほとりのジイチャン家   冬のウスチ・クト

 レナ河は滔々と流れ,秋の陽光をうけてきらきら輝き,川面をわたる風が心地よい.この河のはるか下流にサハ共和国があって,その先は北極海なのである.ここの自然のスケールの膨大さに思い至ると,しばし呆然となる.天気は快晴,日中は半そででちょうど良いほどの陽気であった,,,のが伏線で,天気の話になると,当地の連中は一様に,“明日から寒くなるよー“とおっしゃる.

Lena_port.JPGFrozen_river.JPG1000km.JPG
ウスチ・クトのレナ河川港   レナ河;冬はこうなる     1000km走ったガゼール

 

初日のうちに用事が済んだので,翌日は界隈を見て回ることに.皆さんのお言葉通り,天気は雨,気温も一気に下がった寒い一日となった.しかし,そんなことにはおかまいなく,旅が順調に進んでいることもあって,,,,我輩,ちょっと油断していた~.でも皆で楽しく,クート川やらジイチャンの家やらを回り,ジイチャンの魚釣り話に盛り上がり,昼を食べたあたりで空模様が険呑に.ちょっとぉ,雪が降ってきたではないの.

これはまずいと,ホテルからエアラインに運行状況を確認するも,情報なし.帰りのフライトは夕方なのだが,だいぶ早めに空港オフィスに行ってみることに.で空港についたら,そこにはだれもおらず,滑走路は雪が15cmくらい積もったまま.“なしだよ,なし,こんな日に飛ぶわけないでしょ!“ってな大声が聞こえて来たような気持ちになる.対策を練りながら,あわてて街にもどり,駅で列車の運行を確認.翌日に天候が回復するあてはないので,ここに泊まるのは即却下,翌日の未明にでる列車に乗ると,26時間後にイルクーツクに戻れるが,朝の5時に着いて,13時の飛行機で日本に向けて移動するので,しんどい.それじゃっ!と,ジイチャンに相談すると,”俺がドライバーを見つけてくるから,それでイルクーツクまで走れ“ってことに.ところが,最初にジイチャンが話をつけてくれたタクシー・ドライバーが,”準備してくるから”ってどっか行ったきり帰ってこない.ジイチャンは怒って,“じゃこれから運ちゃんのたまり場に行って,別のヤツをつかまえよう.あいつはもう知らんっ”,というわけで,運ちゃんのたまり場に乱入すると,小柄のやさしそうなとうさんが手を上げた.こうして,ジイチャンのおかげで,なんとかイルクーツクに戻る算段ができたのである.その日朝からバスに同乗してくれたバアチャンとジイチャンにたくさんお礼をいって,日本から持ってきたお土産をあげて,別れた.バアチャンの目はウルウルしていたかも.ほんとにあったかいジイチャン・バアチャンだった.

 

 われらの次の足は黄色い乗り合いタクシー,車はガゼール.イルクーツクにいるトラック会社社長のDさんに道中のことを電話で聞くと,ブラーツクまでは悪路だが,そのあとは舗装になるとのこと.運ちゃんは娘がイルクーツクの大学に行ってるので,月に1回くらい,車で行くのだそうだ.それを聞いて少し安心.こうして1000km先のイルクーツクへ出発した.ウラジオから同行してきたMs.Oは浮かない顔である.“途中で故障したらどうなるの?”. “それはそうなんだけど,なんとかなるって,冬じゃないんだから.” とかなんとか言いながら,車は大揺れを繰り返しながらシベリアの山道を進む.途中,小川のほとりでタバコ休止,兼,運ちゃんが川でウィンド・ウォッシャー用に水を汲む.このころから,車の調子が変に・・・.時おり止まっては,コチョコチョ修理を繰り返す.なんでも燃料ポンプとフィルターのあたりが良くないとかなんとか.ここまで来てしまっては,もう前進あるのみ,止まるんなら人の居るところだぞ!!などと心のなかで繰り返す.

 

 そんなこんなしているうちに,すっかり夜になる.真っ暗ってのはこういうもんだ,ってくらいに暗い.で,また止まったときにだれかが空を見上げて悲鳴に近い声をあげた.いや~,まったく,形容できません.あんなにたくさんの星が空にあったなんて.まさにMilky way,川だー.

 300kmくらいでブラーツクに入る.ここまでくれば一安心.Gasスタンドもあり,ちょっとした補修部品も手に入り,車の調子も落ち着く.ブラーツクを出て連邦道51号のトゥルンを目指す.51号に入ってしばらくして夜が明ける.このあたりから,運ちゃんが眠くなりだした.蛇行まではしないが,目が,目が~!!,定期的に通訳のOさんが,小生が,話しかけたり,ガムを勧めたり,でもこっちも眠くなって意識が・・・.とまれ,前日16時にウスチ・クトを出発し,翌朝10時過ぎにはイルクーツク市内に,結局ホテルには12時に到着.無事にイルクーツクに戻ることができた.

P1241196.JPGP1241202.JPGP1241197.JPG

  冬は列車で            車内,左がコンパートメント        夜が明けた

 

 ウスチ・クトには今年の冬にも行ってきた.今度は行き帰りともに列車の旅,片道26時間.イルクーツクを夜の10時過ぎに出て,翌日は車中,その夜中の1時くらいにウスチ・クトに着く.帰りは朝の5時に出て,翌日の朝6時にイルクーツクに着く.水曜の夜に出て日曜の朝に戻る行程で,現地行動は1日だけ.ひたすら列車の旅であった.今度の旅の前には,現地で停電がないか,嵐が続いて食料が不足していないかなどを心配したが,杞憂であった.州政府の人にも笑われた.ホテルはそれなりに暖房が入っており,お湯も出た.しかしである,ここはロシアのはてなのであるから,ひとたび悪いほうにスイッチが傾くと,笑ってられない事態になる,,,はずである.(だからアネクドートもさえるのだろう

われらが行く前の週に,現地の最低気温は-45度を下回ったが,滞在中はせいぜい-30度と少しくらい,“これなら旭川並みだぁ“,と小さな声でうそぶく.大声でやると,きっとあとで痛い目に遭うだろうから.

 

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