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変わった国の訪問記も.
人間魚雷乗りだった川端さん.
終戦後,復員して関西の大学を出たあと,報道キャメラマンとなって熱帯地をまわったそうだが,ついにPNGはウェワクに住まいを得,ニューウェワクホテルを始めた.当地で奥さんと出会い,娘さんももうけた.当地でもしばしば撮影の依頼があるそうで,結構ハードな仕事をされているらしい.
川端さんと,ホテルの食堂にて
ウェワク岬は小高い丘になっていて,その先端近くにニューウェワクホテルは建っている.ホテルの北裏は急斜面になって,足下には家が少しあってそのすぐ先は海である.客室は2階建の建物2棟に別れて,結構たくさんある.木造でもうずいぶんくたびれているがご愛嬌.エアコンがへたっている部屋があるけど,これもご愛嬌. あっ!そうだ,食堂に“水木しげる”の書いた大きな絵がある.川端さんのために書かれたものである.貴重だし,立派なものなので,たまにポート・モレスビーに貸し出されることもある.
客室棟 母屋と客室棟の間
TVは部屋にはない.現地の連中が泊まると持って帰ってしまうから.部屋での飲酒もご法度.地元の連中が泊まると問題を起すから.気に食わない客は泊めない.セキュリティーや騒がれては困るから.早寝,早起きすればよいのですぐ慣れる.短波放送だけど,中国が日本の使う周波数近くでガンガン電波を出すものだから,なかなか日本の放送を受信できない.丸めて持運びできるループアンテナは結構いいらしい.
朝出かけるときは,客室係主任のマギーか,メード頭のエマに鍵を預ける.反対に帰ってきたときは,この二人のどちらか,基本はマギーから鍵をもらう.マギーが見つからないと,エマが大きな声で“Maggie ~! Maggie ~!,Key! Key! Key”と叫ぶ.これがなんとものどかで耳に残る.洗濯物はエマにたのむ.
夜になると,部屋の外や天井をヤモリ君が這い回る.模様の地味なやつで,毒々しくないので可愛い.たくさん虫を食べてくり.虫除けにはキンチョウ蚊取り線香が定番,電気蚊取り器もいいけど.
ホテルの西裏は洗濯物干し場.昼は,長々と張ったロープに洗濯物が連なる.その脇に,川端動物園がひっそりとある.動物園というのは洒落で,氏のペットであるヒクイドリ,ゴクラクチョウ,オウムなどが飼われているのである.このホテルに来たら,何と言ってもヒクイドリを見ないで帰ってはいけない.体高約1.7m,形はダチョウ,極彩色の顔,黒光りするふさふさした羽が揺れる体,たくましい足,そしてその先の迫力満点の爪.川端さんに聞くと,ジャングルで出会ったらかなり危険,襲われたら大怪我じゃ済まないことも.しかし,こいつを食べちゃう部族もあるそう.肉はかなり固いらしいけど.
当地は停電や断水が結構ある,そんなもんだけど.で,まだ暗い早朝に,ボー!,ボー!,ボー!ってすごく大きな音がよく聴こえてきた.きっと断水になったあと,ポンプで水をくみ上げる際に,ポンプと管が共鳴するかどうかして,こんな盛大な音が出るんだろうと思っていたら,ななんと,ヒクイドリ君の鳴き声だそう.いやー,たまげた.桁外れだ.カメラを向けるときに限って向こうを向いたり,動き回ったりしてくれて,あまりいい写真が撮れなかった(腕のせいでもあるけど).
長逗留のあと,いよいよホテルを出発する朝,川端さんだけでなく,エマやマギーやほかのスタッフらがホテルのまえで送ってくれた.車の窓から手を振ってホテルをあとにした.日本の旅館みたいに.
その前の日には,マギーとエマが当地の民芸品のお土産をプレゼントしてくれた.
で,縁あってまた行くことになった.今度は,氏が懐かしがっていた塩鮭を持っていこうと思っている.ボーボー鳥にもまた会える.今度はもう少しまともな写真を撮ろう.
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